2014年6月23日月曜日

90才の父を、周りに迷惑をかけずに見送りたいと私はずっと考えていた・・・


思い出の風呂敷でエコフィンiSをつくり、親戚の方々と自分たちらしくお父さまを見送られた方のお話が、6月10日の神奈川新聞「自由の声」欄に掲載されました。
自分らしくありたいと願い、行動された越智昌子さん。
丁寧に時間をかけ仕立てられた棺は、それは素晴らしいものでした。

実は越智さん、遠距離介護を続け葬儀についても不安を感じていた昨年、同じく心境を投稿されているのです。

「あの時」と「この時」

越智さんに了解を頂き、今日はその2通のお話をご紹介いたします。
【手作りの葬式で父見送る】越智 昌子さん(横浜市保土ヶ谷区)
「90才の父を、周りに迷惑をかけずに見送りたいと、私はずっと考えていた。
そんな時「女たちのお葬式」という本に出会った。
葬式に対する柔軟な考え方に魅了され、著書のNPO法人「葬送を考える市民の会」に、父の葬儀の相談をした。

 具体的に葬儀の見積もりを進める中、環境にやさしい棺「エコフィン」を教えられ、さらにカバーの手作りを勧められ、面白いと思った。

 先日、父が亡くなり、打合せ通りの葬式を行うことができた。まず、いとこが動いてくれた。祭壇は注文せず、身内からの供花を飾り、叔母が選んだ遺影を置いた。
お坊さんには「一日葬」をお願いし、親戚には告別式だけ行うと言い、
前日の準備(棺の組み立て等)を手伝うよう依頼した。
 
 車いすの叔父、叔母が見守る中、いとこたちが大活躍。
ワイワイ言いながら棺に手製のカバーをした。湯かんし、スーツを着せ納棺。
会場設営も皆で口を出した。帰る人あり、遅れてくる人ありのゆったりした時間。
親戚が全面協力してくれ、父は幸せだったと思う。
神奈川新聞 2014年6月10日(火)「自由の声」欄掲載)



【老老介護も天命全う願う】越智 昌子さん(横浜市保土ヶ谷区)
父90歳、私62歳。親子です。
病院の面会日誌に「長女」と書きますが、スタッフさんには夫婦に見えるらしい。
「白髪を染めよう」と真剣に思います。
そこで一句。
 親の老い背負いかねたり共白髪
「年寄りじゃないけど若くもないのよねェ」遠距離介護もはや10年。
そこでもう一句。
 親が老い貯えが減り子は不安
 私はお金持ちではないので、親の負担で何とか続いた遠距離介護。
何度か経済的な危機もあり、「ドキドキ」と「胃炎」は今も顕在。
父の命と貯蓄残高のカウントダウンにドキドキしています。
 また、「葬式が出せない」という最悪の未来におびえ、眠れぬ夜も。
情報を集め「直葬」と「合葬」を選択。何とか自分を納得させましたが...。
 ボケてはいませんが、現実的な判断が不可能になっている親には、配慮やうそも必要。親の精神的安定を維持しながら、天命を全うしてほしいと願います。
私の選択に対する周囲の批判には、この白髪頭を下げています。
親子の老老介護の経緯はこんなものです...。
神奈川新聞 2013年8月13日(火)「自由の声」欄掲載)

当時は「直葬」を選択されていた越智さんですが、その後、
「お葬式は誰のためにするのかな」と自問。
自分だけでなく、伯父や伯母たちもお別れをしたいはずではと、何とか式ができないかと考えます。既成概念にとらわれず、自分たちらしいおくりかたを見つけ、「これから楽交」の講座に参加されて思い出の布を用いて棺を用意しました。
最初はお別れの日が近いことにショックをうけた親戚も、出来上がった棺の写真や報告に「目で見て一歩ずつ、お葬式に向かってくれた」と。その結果は「親戚が全面協力してくれ、父は幸せだったと思う」この一文にこめられているように思います。これから楽交」が背中を押してくれた、と後日お話をお聞きした際に、そうお聞かせくださいました。

「して後悔することと、しなくて後悔すること」

「老い」や「死」、誰もが不安をかかえながら、どこか当時者意識を持ちづらくなっています。今、本当に大切なことをともに見つめ、それぞれの経験を持ち寄ってそっと支え合える存在が必要と考えます。
これから楽交」はお互いにそうありたいと願っています。


「エコフィンiS」
http://www.willife.com/is/

「生き方」と「逝き方」を楽しく学び合う「これから楽交」https://www.facebook.com/KOREKARAGAKKO

2014年6月20日金曜日

【木を植える棺 エコフィン・イズ】

【木を植える棺 エコフィン・イズ】

といっても、棺、自らは木は植えません…。でも、木を植えています、モンゴルに。そんな棺があるんです。
http://www.ecoffin.jp/inochinomori.html

エコフィンの名前の由来は、エコロジー+コフィン(棺)=エコフィン。何がエコなんでしょうか?

エコフィンを形作る素材とその仕組みがエコなんです。材料に使われているのはトライウォール。環境に配慮し「循環型」という新しい考え方の棺です。
http://www.willife.com/is/kankyo/index.html

木を使ったら、木を植える。

この循環は、一見、簡単なように思われるかも知れませんが、地球全体でみても、日本をみても、全く簡単ではありません。今の状況は、かなりバランスを崩した在り方となっています。

森と自然のバランスを考え「循環型」という新しい考え方の棺は、世界の森、日本の森を守りたい、そんな思いがつまっています。世界の森のためにモンゴルに木を植え、日本の森のためにモア・トゥリーズ(代表:坂本龍一氏)に寄付をしています。
http://more-trees.net/about/

木を植える棺、 エコフィン・イズ。

次世代の子ども達に、よりステキな未来を残したい。今年も、賛同いただいた皆さまの思いを添え、モンゴルに木を植えます。

2014年6月16日月曜日

「入棺体験会」って、どんなことをするの?

「入棺体験会、ってどんなことをするの?」
  生きている人が本物の棺に入り、ひとり静かに棺で横たわる体験をします。


「なぜ?そんなことをしているの?」
 なぜでしょう?ヒントは「 "生"を見つめるための…」、体験からの感想は人それぞれです。



◆体験者の感想から◆

「本堂のご本尊の前で、ひとり、入棺できるのは、とても贅沢なことだな、と感じました。大事なことを学び直す機会になったと感じます」

「今日はとても貴重な体験をすることが出来ました。3分間短いようで、長い入棺体験でした。自分が亡くなった時よりも、なぜか両親の事を考えてしまいました。今を大切に生きていこうと思いました。」

「参加された皆さんとお話することが出来て、とても光栄でした。”死”というものは、なかなか他の方と話す機会がないので、他の方の死生観を聞くことは、自分のコトを考えるきっかけとなりました」

「もっと世の中に広がっていくとすこやかな世の中になっていく気がしました」

「お寺で行うことは、リアルすぎるかなと思いました」



「生きている人」が「生きているうち」に自分の足で入ることは通常はあり得ない「棺」。

「棺」に入ることに、皆さんは「何」を求めているのでしょうか?もしかしたら、あなたにとって、大切なコトを見つめる体験になるかも知れませんね。

「入棺体験会」をやっています。

詳しくは「これから楽交」のFacebookページで!

これから楽交
https://www.facebook.com/KOREKARAGAKKO

これから楽交(がっこう)は、
これからの「生き方」と「逝き方」を楽しく学ぶコミュニティ活動です。

2014年6月9日月曜日

感動とも達成感ともつかない、ジワジワくるもの


「世界でひとつだけの棺づくり」ワークショップに参加された方が、感想をつづって下さいました。ぜひ皆様にもお読み頂きたく、紹介させて頂きます。



【オンリーワンの棺づくりを体験して】

「大切な人を見送る形は、家族や自分が納得できる形にしたい。
最近、そんな考えが少しずつ市民権を得はじめているような気がします。
メディアなどではもっと前から取り上げられていたとは思いますが、
身の回りの実感としてとなると、やはり、やっと少しずつ…と。
そうはいっても、葬儀に関してはどうしても親類やお世話になった方々のことも考えないわけにはいかない。もちろん、すべて家族や自分(故人の意志も含めて)の自由にできればベストだと思いますが、もし、すべてが自由にならなくても、できるだけ自分たちがよいと思える形で送りたい。
 両親とのたまの会話の中で、そんな話題もちらほらする年代になった今。
見送りの形に選択肢やバラエティが増えたのは心安らぐことに思えます。

 そういった時に出会ったウィルライフさん。葬儀という死後のことだけでなく、
大切な人との関係や、自分自身の豊かな暮らしを見つめ、その先に続くお見送りまで
同じように心豊かな納得できるものにするための活動をしている…と感じて
気になっていました。
 たまたまご縁があって出掛けた駿台トラベル&ホテル葬祭マネジメント学科」(今はこんな学科があるんですね)の卒業研究発表でも、ウィルライフさんの手掛ける棺を見掛けました。
 エコフィンというダンボール製の棺に、学生たちが手作りで着物(故人の愛用品という設定)の生地を貼ってつくった“故人の思い出に包まれた棺”としての展示でした。ダンボール製ということで環境に優しいのはもちろんですが、シンプルでスタイリッシュな外観。ダンボールなので自由にメッセージや絵を描いたり、紙や布を貼り付けるのもラクそうです。
 そこで、行ってみました。ウィルライフさんの「エコフィン・ラボ」。
実際に思い出の棺づくりを体験できるワークショップです。
西麻布という都心なのに、小さく静かな路地にたたずむラボは、まるでカフェか趣味の雑貨屋さん、本屋さんのような癒しの雰囲気。
あたたかなスタッフの方々に迎え入れられると、誰もがほっと寛いでしまうはず。
 棺づくりの材料や道具は用意していただいているので、手ぶらで参加OK
作業の前に、手作りの紙芝居で葬儀と環境の関係をわかりやすく学べます。
詳しい内容は長くなってしまうので、ぜひ実際に足を運んで聞いてみてください。
ただ、葬儀という人生の最後。
土に還る、無に還るなど考え方はそれぞれだとしても、とにかく自分をリセットするときに、こんなに環境に負荷をかけるのは矛盾はなはだしい!
 と、ちょっと熱くなった気持ちも、実際に作業に取りかかるとすぅーっと落ち着いていきます。ひとつひとつの手仕事に、とにかく無心になってしまうんです。

 この日は私の他に、2人の方が棺づくりに参加されていました。おひとりは、自分で思い出の棺づくりも始めていらっしゃるベテランさん。ハンドメイドの腕前はプロ級とお見受けしました。この方とスタッフさんに導かれて、まずは用意していただいていた着物をほどいていきます。


 恥ずかしながら、こういった手作業は本当に久しぶりでした。失敗しそうでドキドキしながらも、どんどん集中できてしまう。なんとも不思議で心地いい感覚です。
「自分の棺作りに定型やルールはないので、少しくらい失敗(たとえば間違ったところを切ったり)したり、最初の予定と違っても大丈夫」というスタッフの方の言葉にもホッとして…何枚かの着物をほどいて測る。切って布地状にする。デザインを考え、縫い合わせて、エコフィンの上蓋に挟み込んで仕上げる。手順だけをごく簡単に追ってしまえばこんな感じです。

 もちろん1枚の着物でも素敵に仕上がりますし、着物と好きな端切れや、上級者であれば愛用の洋服から生地をとることもできそう。ただ、印象的だったことのひとつとして、着物のリフォームのしやすさがあります。ほどくとシンプルな長方形の布、数枚になる。
この清々しさ、汎用性はすごい。着物を洋服にリメイクするのも流行っていますが、確かに棺というのは、形状的にも思い入れ的にもぴったりのアイデア!

 そして出来上がった棺を見ると(入ってみることもできます)、自分の思い出の棺というわけではないのに、なんともいえない想いがこみ上げてきます。
感動とも達成感ともつかない、ジワジワくるもの。
これが大切な人を見送るためや、自分自身の準備としてなら、作っている時、仕上がった時、どんな感慨に満たされるのか…。
 みんなでおしゃべりしながら楽しく作ったこともあり、あっという間に仕上がったイメージ。実際は2時間くらい掛かったと思います(ミシン掛けなど難しいところは、すべて得意な方にお任せしてしまった結果ですが)。
お見送りのための棺づくりであれば、ひとりでじっくり大切な人との思い出を噛み締めながらもよし、ごく親しい方々と思い出話をしながら仕上げるのもよさそうです。
どのように作るにせよ、手を動かすことによる癒し効果はとにかく大きいものだと、
普段、ボタンつけくらいしかやらない(できない?)私が実感。
それによって深い悲しみや消失感が少しずつ緩和されると共に、故人への感謝や愛情が深まるのだと確信させられる貴重な体験でした。
皆様、本当にありがとうございました。」

参加された三人+スタッフ二人、母として、娘として、女性として、女性5人あつまれば話しは当然つきません。年代を超えて、お互いの立場を想像しあい、気持ち通じ合わせたひと時でした。
「生き方」と「逝き方」を楽しく学び合う「これから楽交(がっこう)」では、エコフィン・ラボにて、定期的に「わたしだけの棺づくりワークショップ」を開催しています。6月の日程は6/12(木)、6/26(木)10:00〜。
ぜひ皆様も自分だけの棺づくりを通し、自分らしい葬送について考えてみませんか。
個人での製作レッスンも承っています。
お気軽にご相談ください。

「私は思い出の着物で棺をつくります」
〜世界でひとつ、わたしだけの棺づくりワークショップ〜
次回開催:2014年6月12日(木)10:00〜
会場:エコフィン・ラボ(東京都港区西麻布2-26-5)
主催:これから楽交(がっこう)

詳細はこちらをご覧下さい。
https://www.facebook.com/events/1461935000711133/