2014年8月5日火曜日

「お葬式、手伝って!」


きっと周りの人たちは、その一言を待っているのかもしれません。
お互いの気持ちを繫ぐ「魔法の言葉」。

札幌の認定NPO法人「葬送を考える市民の会」会報誌に、
手作りの棺でお父さんを見送られた方の体験談が掲載されました。
ぜひ皆さんにも紹介したく、了解頂いた上でご紹介させて頂きます。

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「お葬式、手伝って!」
会員 越智 昌子さん(横浜在住)

90才の父を周囲に迷惑をかけずに送る葬式の形とは?・・・答えは本の中にあった。図書館で『女たちのお葬式』という本に出会い、私は、ようやく手掛かりを掴んだ。早速、相談を申し込んだ。でも、具体的な「葬儀見積もり」は、驚きの連続だった。
「遺体に病衣を着せてもらえるか病院に確認してください」
「エッ!」(はだかでの搬送体験ありなの?)
「段ボールのエコな棺もありますよ」
「エッ!」(段ボール?ですか?)
「棺に手作りカバー着けませんか?」
「エエッ!」(私、縫い物苦手なんですけど・・・)
そんな私だったが、見積書を父の妹(叔母) (叔父)に見せ、相談を重ね、何とかお葬式の準備をすることができた。
 そして父が亡くなった。打合せ通り、まず いとこが葬儀社と病院へ。「午後3時集合でお葬式準備をするのを手伝って!」と親戚に連絡。段ボールの棺を組み立て、いとこ達とワイワイ手作りカバーを着けた。その後の湯灌では、スーツ着用に時間がかかり、鈴(リン)担当は、何度も交替。でも、車イスの叔母・叔父はじめ、いとこ達もしずかにその様子を見守ってくれ、貴重な時間になったように思う。
 祭壇は注文せず、身内からの供花を飾り、叔母が選んだ遺影を置いた。
 棺にいれる千羽鶴も叔母が用意してあり・・・感謝!
 会場設営は終えたが、通夜は行わず、お寿司をつまみながら、しばし歓談。三々五々帰る人あり遅れてくる人あり・・・私はゆったり応対することができた。
 翌日「一日葬」(告別式)をお坊さんに行ってもらった。
 葬儀社さんが黒子(くろこ)に徹してくれたおかげで、親戚それぞれが何かしら働いたお葬式となった。このお葬式の雰囲気は、父にも気にいってもらえたのではないかと思う。

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越智さんが札幌に入院中のお父様の相談にこられたのは今年の3月でした。終活セミナーなど積極的に参加して勉強しているが、中々形がみえてこない。葬儀は身内だけで納得のいく送り方をしたいがどうすればいいのかと。
「祭壇をつくらなくても、その方らしい葬儀の形は表現出来ます。例えば、死装束や布を組み込ん作れる段ボール製のエコ棺など、何か一つでもご家族が手をかけたものがあると満足できますし温かな葬儀になります」とアドバイスしました。
 お父様が長年ご商売されていた酒屋さん時代の大判風呂式2枚で棺カバーを作られました。(「葬送を考える市民の会」スタッフ齋藤 弘美さん)

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越智さんが紹介された棺は「表現する棺」エコフィンIS(i-Style)。
東京の「これから楽交」で行っている一つだけの棺づくりワークショプに何度も参加され、素晴らしい棺をつくりました。出来上がったカバーをスーツケースに入れ、葬儀の前日に親しい方々で棺を組み立てカバーを取り付け、皆さんがどなたも遠慮することなく、最期のお別れの時間を過ごされたことと思います。
暖かな葬儀を終えられたと知り、私たちスタッフにとっても棺をつくるお手伝いをさせて頂いた時間は、心に残るものとなりました。