温暖化による異常気象は、すでに世界各地で頻発しています。
異常気象は人間への影響はもとより、人間と違って守る術を持たない生物の絶滅を
もたらし始めています。
かつてオレンジ色をした小さなカエルが、コスタリカのモンテベルデ雲霧林を
中心に生息していました。ところが1980年代後半急激にその数が減少、
1989年以降発見された例がなく、ついには絶滅したと考えられています。
原因の一つは、例外としか言いようのない干ばつが数年つづいたこと。
カエルはオタマジャクシの頃は水の中で育つので、水たまりや池沼がなくなると
繁殖出来なくなってしまうのです。
オレンジヒキガエルの絶滅と同じ時期に、20種類ものカエルが絶滅している
ことで、世界規模でカエルが減少していることが国際学会で話題となり、
研究プロジェクトが発足。減少の原因がいくつか上がってきました。
①温暖化に伴う異常気象
②ペット用商取引のための乱獲
③酸性雨
④オゾン層破壊による紫外線の増加
⑤外来種の観賞魚がもたらした疫病の発生
⑥内分泌撹乱物質(環境ホルモン)による免疫力の弱体化
⑦水辺の開発による生息環境の喪失
(参考文献:中公新書「自然再生」鷲谷いづみ著)
こうして見ていくと、気象変動だけでなく、私たち人間が目先の利益だけを考えて
起こしている行動が大きく作用していることが分かります。
もともと環境破壊、地球温暖化も便利で効率が良い生活を追い求めた
私たち人間が原因になっているのですから・・・。
カエルのような両生類が生息するためには、水辺と森の両方が必要です。
しかも羽毛や毛皮がなく、皮膚が露出しているため汚染物質や紫外線の影響を
受けやすく環境悪化の影響が哺乳類や鳥類より先に現れるそうです。
カエルの絶滅は私たちからほど遠い地域での、単なる小さな生物の
いち変化ではなく、私たち含め地球上の生物がこうむらなければならない深刻な
影響の前触れと考えなくてはなりません・・・。
地球環境の悪化はまったなしの状況です。
私たち人間も全ての動植物とともに生態系の一部であり、自然の恵みを享受して
生きています。ところがその存続がいまや危機に瀕しているわけです。
便利でモノに溢れた都市部で暮らしていると、昔の日本人が実行していた
「自然との共生」を意識することが難しくなってしまいます。
日常の何気なくしていた行動が、見えないところでどのような影響を与えている
のか、普段の生活の小さなことからでも、意識して選択したいと思っています。
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