♢ フェアトレードということ
物を買うということは、好奇心がそそられそれに応えてくれる。それに、ほしいものが手に入ったときの満足感はなんとも言えない。
でも私たちは、自分が買っているものが、誰がどこで、どうやってつくったものかほとんど知らないのではないでしょうか。
今、世界のあちこちで、森の木が切られ、動物や鳥の住み処がなくなったりして環境破壊が問題になっています。途上国では、最低限の生活に必要な賃金さえ受け取れない人がいます。それがもしかしたら、私たちが買っている「安くて良い」商品をつくるためだとしたら商品の背景を知らずに買ってしまうと、私たちは気づかぬうちに環境破壊や貧困に加担しているかもしれないのです。
もし私たちが「つくる人にも環境にも優しい商品」を選んで買えばどうでしょう。「フェアトレード」は、そのような商品を生産者から公正な値段で買い取る貿易のことです。フェアトレードの商品を買うと、環境や生産者の権利を害さないだけでなく、生産者の村で小学校を建てたり、健康管理を向上させたり、識字率を上げたりすることを応援できます。フェアトレードが支援するのは、世界で最も底辺に追いやられた人々、例えば途上国の女性や子供たちであり、フェアトレードによって生活を向上させることができるのです。
生活に必要な買い物でも、楽しみのための買い物でも、一人でも多くの人がフェアトレード商品を選んでいけば「違い」は確実に生まれるはずです。
フェアトレードは、人と地球にやさしい貿易の仕組みです。アジアやアフリカ、中南米などの女性や小規模農家をはじめとする、社会的・経済的に立場の弱い人々に仕事の機会をつくり出し、公正な対価を支払うことで彼らが自らの力で暮らしを向上させ、自立できるよう支援します。<People Treeより>
1.
生産者に仕事の機会を提供する
社会的に弱い立場に置かれた小規模の生産者が不安定な収入や貧困から脱し、経済的に自立することを支援します。
2.
事業の透明性を保つ
経営や取引における透明性を保ちます。すべての関係者に対し説明責任を果たし、参加型の意思決定を行います。
3.
公正な取引を実践する
バイヤーと生産者は、連帯と信頼、互いへの思いやりに基づき長期的な取引を行います。小規模生産者が社会的・経済的・環境的に健全な生活ができるよう配慮して取引し、利益を優先することはありません。また要望があれば、バイヤーは生産者に収穫や生産に先だって前払いを行います。
4.
生産者に公正な対価を支払う
生産者に対し、その活動地域の基準で社会的に受け入れられ、生産者自身が公正だと考える価格を支払います。公正な対価とは関係者全員の合意により決定されるものです。男女の同等の労働に対し、平等な対価を支払います。
5.
児童労働および強制労働を排除する
生産過程での強制労働を許さず、国連の「子どもの権利条約」および子どもの雇用に関する国内法や地域法を順守します。生産に子どもが関わる場合はすべて公開・監視の上、子どもの健全な生活や安全、教育、遊びに悪影響を及ぼさないようにします。
6.
差別をせず、男女平等と結社の自由を守る
雇用や賃金、研修の機会などにおいて、人種や社会階級、国籍、宗教、障害、性別や政治的信条など、あらゆる面において一切の差別をしません。男女に平等の機会を提供し、特に女性の参加を推進します。また、結社の自由を尊重します。
7.
安全で健康的な労働条件を守る
生産者が安全で健康的な環境で働くことができるよう、現地の法律やILO(世界労働機関)で定められた条件を守ります。また、生産者団体における健康や安全性についての意識の向上を継続的に行います。
8.
生産者のキャパシティ・ビルディングを支援する
立場の弱い小規模な生産者に、ポジティブな変化をもたらすことができるよう努めます。生産者の技術や生産・管理能力などのキャパシティが向上し、市場へアクセスできるよう支援します。
9.
フェアトレードを推進する
フェアトレードの目的や必要性をより多くの人に知ってもらえるよう啓発します。また、消費者に対して販売者や生産者、商品の背景にある情報を提供し、誠実なマーケティングを行います。
10.
環境に配慮する
生産地で持続的に採れるものなど、サステナブルに管理された素材を最大限に活用し、エネルギーの消費と二酸化炭素の排出が少ない生産を心がけます。農業ではできるだけオーガニックや減農薬など環境への負荷の低い方法を用います。梱包にはリサイクル素材や生分解可能な素材を用い、輸送にはできるだけ船便を使います。
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